(ブラック企業元社員)メンタルが崩壊する残業時間はどのくらい?

過労死にならないためにできること 会社や仕事につぶされない働き方・休み方

1.はじめに

私はIT業界にかれこれ20年以上いますが、15~20年くらい前までIT業界の労働環境は本当に劣悪でした。

今ならば考えられない事ですが、どの職場でも100時間超の残業は当たり前で、50~60時間以下の職場は「楽な職場」と呼ばれていました。

そんな劣悪な労働環境なので、自社の同僚や同業他社の友人が過重労働が原因でメンタル不調に陥り、休職や退職、さらには最悪のケースに至ることも珍しくありませんでした。

あれから20年が経ち、IT業界をはじめとした労働環境は随分改善されたと思いますが、いまだにブラック企業に代表される過酷な職場は一定数存在していると思います。

私自身も過酷な勤務に心身が壊れそうになったことも多々あるのですが、実際に過酷な勤務の真っ只中にいるときは、意外と体調や心理状態の不調に気付けなかったりしました。

なので、残業時間別に生活リズムや体調、心理状態を振り返ってまとめてみることにしました。

あくまでも私の個人的な経験や感想ですが、何かのお役に立てば幸いです。

 

 

2.私の職種と勤務体系

まずは参考までに私の職種と勤務体系を簡単に記載しておきます。

  • システムエンジニア
  • 中小企業の正社員
  • 客先派遣がメイン(いわゆるSES)
  • 元請(いわゆるSIer)の指示の下で作業を行うことがほとんど
  • 過去に経験した残業時間はゼロ~235時間(1か月の労働時間で395時間)

3.残業がほぼゼロの場合

ごくたまにこういう職場があります。残業ゼロという事は実質的にはマイナス、つまり通常の仕事だけでは1日の勤務時間を満たせず、適当に時間を潰して終業時間まで職場にいる感じです。

私の場合は同じ職場のメンバーとお菓子を食べながら談笑したり、PCでソリティアとかやって時間を潰してました。

なので、当然の事ながら毎日決まった時間に帰宅する事ができ、体調も心理状態も非常に安定しています。

ただ、私はこういう職場でも全く問題ない(むしろ大歓迎)のですが、意外と「辛いので早く他の職場に行きたい」という人もいます。

楽過ぎる、簡単過ぎる仕事に加えて、有り余る時間があると、多くの人が「このままで良いのだろうか」などと不安に感じるようです。

なので、この機会を逃さずに今までできなかった勉強をしたり、趣味に没頭したりすると良いと思います。

4.残業が5~10時間の場合

残業ゼロと違ってほどよく仕事がある感じです。個人的にはこのくらいが一番望ましいかと。

生活リズムも一定かつプライベートの時間も多く取れるため、体調や心理状態も安定していると思います。

もしこの状態でも不安や怒り、絶望感を強く感じるなど心理状態が悪い場合、仕事の内容や人間関係に問題がある可能性が高いので、その辺りを疑った方が良いかもしれません。

5.残業時間が10~20時間の場合

ダラダラやっているのであればそれほど疲れませんが、真面目にやっていればこのくらいの残業時間でも多少疲労感は出てきます。

特に毎日の仕事量に波があり、生活リズムが一定にできない場合、数字上よりもはるかに疲労感が強くなると思います。

私は急な夜勤や休日出勤がある職場でこのくらいの残業時間だったことがあります。代休などを取ると残業時間自体は大したことないように見えてしまうので、誰からも心配してもらえず結構辛かったですね。

疲労感を感じたらすぐに有給なり代休を取って丸一日休むことをおススメします。

周囲を気にして休めない方は遠慮なく「体調不良です」と仮病で休んでください。大丈夫です。ほとんどの人は年に何回も仮病で休んでますから。

6.残業時間が20~30時間の場合

一日平均1時間以上残業していることになり、残業が常態化している状態です。このくらいの負荷が常に続くようであれば、明らかに人手不足だと思います。

この程度の残業時間だとまだ世間的には問題視されませんが、個人的には十分しんどいレベルだと思います。

人によっては一日「9時間勤務」という感じで慣れてしまう方もいると思いますが、疲れやすい人やプライベートを充実させたい人には非常に苦痛かと思います。

かといって、この程度の残業時間は日本のどの会社でも当たり前のように要求されてしまうという現実があります。下手に転職するとさらにブラックな職場で働くことになるかもしれないので、転職するにも悩ましいところです。

7.残業時間が30~40時間

このくらいの残業時間になると平日にプライベートな時間を確保するのが難しくなってきます。通勤に1時間以上かけている人だと、寝る時間を削らない限りプライベートな時間は確保できないでしょう。

睡眠時間などの生活リズムはどうにか一定に保てても、平日にプライベートな時間が取れないので、スクールに通ったり友人と会食したりするのは難しく、かなりストレスを感じると思います。

今の仕事が楽しい、やりがいを感じる、もっと経験を積んで早く独立したい、などといった事がないのであれば、転職をおススメします。

8.残業時間が40~60時間

世間的にも残業時間が40時間を超えると問題視されるようになりますが、これはある程度理に適っていると思います。

というのも、40時間を超えてくるとどうやっても睡眠時間を削らざるを得なくなり、生活リズムの乱れや質の低下につながってきます。

あと、生活リズムが通常の状態を保てなくなるので、家族がいる人は「本当は自分がやるべきことをこなせない」など家族にも少なからず迷惑がかかるようになります。

このくらいになると、さすがにほとんどの人がかなりの疲労感を感じるようになります。

もし、この程度の残業時間では全く疲労感を感じないという人は、たぶん感覚がマヒしてきていると思います。今の感覚が正しいと思い込んで後輩や同僚にも強要したりしないよう気を付けてください。

9.残業時間が60~80時間

このくらいになるともはや休日も犠牲にしないとこなせない状態になっていると思います。

誰もが明らかに疲労感や負担感を感じるレベルであり、この状態が数か月続くと結構危険になってきます。

休日も含めてプライベートな時間はかなり少なくなるため、仕事以外の人間関係が希薄になるなど、長期的な人間関係への悪影響が目立ち始めます。

一日ズル休みすることで多少疲労感は改善しますが、根本的な生活リズムや生活の質の立て直しにはつながらないため、今の仕事を続けたい動機を持つ人でも可能な限り転職すべきだと思います。

10.残業時間が80~120時間

平日は終電近くまでの残業に加えて、毎週土日のどちらかは仕事をしている状態となり、実質的に週休一日の状態となります。

週休一日しかなく常に疲労困憊のため、せっかくの休日もほぼ寝て過ごすことになり、プライベートはほぼゼロ、会社以外での人間関係が崩壊し始めます。

人にもよりますが、この辺りから少しステージが変わってきます。頻繁に思考停止状態に陥るようになり、半ば無意識で会社に行ったり仕事をしたりするようになります。

私の経験的に残業時間が80時間を超えたあたりから劇的に生産性が低下し始めます。時折意識が朦朧というか、あまり物事を整理して考えることができなくなります。全身の倦怠感や疲れが抜けないという身体的な症状も顕著になります。

その原因は何といっても睡眠時間が不足することによります。慢性的な睡眠不足は作業効率の低下だけでなく、鬱などの発症リスクを劇的に上昇させるらしいです。

人によっては1~2か月程度であれば耐えられますが、基本的にはすぐに転職を検討した方が良いレベルです。3か月以上続くようであれば、取り返しのつかない事が起こる前に手を打ちましょう。

またこのレベルになると、自分自身の健康や心理状態に気を配ることも難しくなるため、周囲の人間がよく観察して気づいてあげる必要があります

11.残業時間が120~160時間

平日は常に終電まで残業し、かつ土日のどちらかも終電近くまで残業している状態です。週によっては土日の両方とも仕事をしないと追いつかなくなり、労働基準法で定められている法定休日(週一日の休日)が守られていない状態となります。

もはや同居家族との会話の時間すら確保することが難しくなるため、家族がいる人は家庭も崩壊し始めるレベルです。当然友人関係などとのコミュニケーションは実質的に不可能になります。

またこのくらいになると、余程自宅と職場が近くない限り平日の睡眠時間はどう頑張っても5時間を切り、日によっては3時間程度になることもあると思います。

睡眠不足による影響が顕著になり、仕事でのミスが増え始めます。また常に仕事による緊張状態が続いているためか、睡眠中に不意に目が覚める事が増えます。そして睡眠の質が低下し、ますます生産性が落ちるという負のスパイラルに陥ります。

たとえ1~2か月程度の一時的な状態であっても危険なレベルであるため、すぐにでも医師の診断を受けて即休職か退職を検討した方が良いと思います。

また自分自身の健康や心理状態を含めて物事を正常に判断する事が困難になるため、周囲の人間がよく観察して、健康状態に問題がありそうならば、多少無理やりにでも休ませる必要が出てきます

なおこういう状態を放置する職場は、たとえ体調不良で休んでいても容赦なく連絡してくることが多いので、休む際はスマホの電源は確実に切ってください

12.残業時間が160~200時間

平日および土日どちらも仕事をしている状態であり、月の休日は良くて1~2日になります。プライベートはゼロ、家族との交流もほぼゼロになります。実質的に仕事しかしていない状態となります。

当然ながら月1~2日程度の休暇で疲労が回復するはずもないため、身体の異常(私の場合は下痢と突発的な鼻血)が慢性的になります。

精神的にもかなり危険な状態となり、疲労感が強いにもかかわらず、あまりよく眠れなくなってきます。

日々の生活の中でも記憶があやふやになるなど、現実との境目があいまいに感じられるようになります。同じ状況に陥った友人によると、不意に「楽になりたいな」と感じて、気づいたら電車のホームの端に立っていたことがあったと言っていました。

当然ながらもし逃げたくなっても、今の職場から逃げれば十分であり、現実世界から逃亡する必要はないという事を覚えておきましょう。どうしても周囲に相談できないのであれば、今日からずっと無断欠勤しても良いです。大丈夫です。会社は文句を言うでしょうが、何日かすれば必ず代わりの人を見つけてきます。そんなもんです。

一国の首相や大企業の社長が急に辞めても問題ないのですから、安月給の一社員が突然辞めたところでどうこう言われる筋合いはありません。

13.まとめ

長くなりましたが、まとめると以下のようになります。

・月40時間~・・・・転職を検討

・月80時間~・・・・転職を推奨(メンタル崩壊開始)

・月120時間~・・・即休職を推奨

・月160時間~・・・今日から無断欠勤を推奨(メンタル完全崩壊)

基本的には常に80時間を超えるようであれば危険信号です。たとえ一時的であっても120時間を超える場合はすぐに何らかの手を打つ必要があると思います。

人それぞれ感じ方はちがうと思いますが、参考になれば幸いです。