IPAの高度試験の勉強はひたすら過去問を解くのが正解(午後Ⅱ論文試験編)

 

情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2021年版

1.はじめに

IT資格で一番多くの人が受験するのが情報処理技術者試験IPA)だと思います。

基本情報技術者応用情報技術者は、市販されているテキストや問題集を購入して勉強すればきちんと勉強すれば合格できると思いますが、それより上位の試験になってくると何度受験してもなかなか合格しない場合があります。

そんな方に向けた勉強法を紹介したいと思います。

 

2.高度試験がなかなか合格できない場合

高度試験に何度も落ちる人の原因として、以下があげられると思います。

  • 午前で落ちる
  • 午後Ⅰで落ちる
  • 午後Ⅱ(記述・論文)で落ちる

それぞれの原因別に対策を説明していきます。

 

3.午後Ⅱ(論文)で落ちる場合

午後Ⅱ(論文)で落ちる場合は大きく以下の3つの原因が考えられます。

  1. 問題文とは無関係に自身の経験を論述してしまっている
  2. 設問で問われている事に答えていない
  3. 解くべき問題(問題の選択)を間違えてしまう
  4. 文字数や記述量が不足している

まず先に述べておきますと、この論文試験が一番対策が難しい試験になります。但し、それは一般的に思われているような豊富な経験やスキルが必要とされる、という意味ではありません。ハッキリ言ってポイントさえ押さえていれば、2~3年目のエンジニアであっても十分合格可能です。

 

1.のケースの場合、そもそも論文試験を「経験をアピールする試験」と勘違いしてしまっていると思われます。論文試験も基本的には午後Ⅰと同じく、「必要な知識やスキルを有しているか」という点を見ているに過ぎません。なので、設問で問われてもいない経験や成功体験を長々と説明するのは間違いです。問題用紙にもわざわざ「問題文の趣旨に沿って解答してください」と太字で記述されていることから、このパターンで不合格になるケースが非常に多いことがよくわかります。

あと、一応申し込み時に経歴は確認されますが、論文試験の内容を実際に自分が経験したかどうかはチェックされません。例えば、プロジェクトマネージャ試験の場合、実際にはPMではなくメンバーとして参画した際の経験を「もしPMが私だったら」という風に置き換えて解答しても別に問題はないです。

 

2.のケースの場合、問題文と設問の読み込みが不十分であると思われます。

論文試験は問題文と設問を合わせても1ページ程度しかないため、読み込むのに時間が足りないということはまずないと思います。それでは何が問題になるのかというと、問題文と設問に記述されているワードをきちんと拾えていない、という点になります。

例えば、問題文に「検証する内容はステークホルダーと合意する必要がある」という記述があり、設問で「検証フェーズで検証した内容」を問われているのに、解答でこの点について言及していない、といったことが考えられます。

採点者の立場で考えるとよくわかると思いますが、論文の文章力や論文内で述べている業務における成果といったあやふやな基準では採点困難なので、必要な点が言及されているか、という明確な基準で採点されているのはほぼ間違いありません。この点を勘違いしているとなかなか合格は難しくなります。

 

3.のケースの場合、午後Ⅱ(記述)と同様ですが、自分の経験や知識を棚卸ししてみて、自分の得意な分野がどこであるかを把握するようにしてください。

午後Ⅱは2問中1問を選択して解くので、ここで問題の選択を間違えると合格するのは難しくなります。本試験前に数回論文を書いてみて、どの分野であれば無理なく書けそうかチェックしておくことをオススメします。

 

4.のケースの場合、各設問で設定されている解答字数を確実にクリアするようにしてください。採点者の立場で考えると、ここをクリアしていない解答は採点すらされずに問答無用で不合格にされている可能性が高いです。(採点の最初にまず文字数を定規のような道具でチェックしているという話もあります)

あと注意すべき点として、合格に必要な最低限の記述量(800+800+600=2400文字)ですら、普段手書きで文字を書かない人にとって2時間で書くのは相当しんどいです。実際には試験時間の大半(7~8割くらい)はひたすら文字を書くことに費やすことになるので、考える時間は全体の2~3割(30分くらい)しか取れません。

なので、やはり本試験前に数回論文を書いてみて、どのくらい時間がかかりそうか把握しておく必要があります。