企業家として成功するには何が必要なのか?
はじめに
Yコンビネーターは、ポール・グレアムにより創設されたベンチャーキャピタルです。
私がこの本を読んだのは、スタートアップに興味があったからではなく、ポール・グレアムの著作を読んで、彼自身に興味を持ったからです。
ちなみにポール・グレアムのエッセイの和訳は、ネット上に多数あり無料で読む事ができます。
そんなポール・グレアムが語る「企業家として成功する条件」は、一般的なイメージとはちょっと違うものでした。
Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール
- 作者: ランダル・ストロス,滑川海彦,高橋信夫,TechCrunch Japan翻訳チーム
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/04/25
- メディア: 単行本
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時には「持っている人」よりも「持っていない人」の方が強い事もあるんだよ、というのが今回のお話。
要約
スタートアップの創業者になるのに最適な時期は20代の半ばだ
若過ぎれば学生気分が抜けず真剣さに欠ける、歳を取り過ぎれば仕事や家庭など失うものが大きく決心が揺らぐ、ということらしいです。
スタートアップの本質は単に新しいビジネスだという点ではない。非常に急速に成長するビジネスでなければならない。
「一つずつ製造するもの」や「一軒ずつ営業して売るもの」では、「急速に成長するビジネス」には成り得ない、ということらしいです。
できるだけ早く世に出し、ユーザーの意見を集めて改良しろ。そのためには最小限の機能だろうと、作りかけだろうとかまわない。
ユーザーの反応を見て、はじめてユーザーが求めていたものがわかる、ということのようです。自分達だけであれこれ考えても、独りよがりになるだけだということでしょう。
この世界では乱暴に拒絶されることが日常茶飯事だ。それをいちいち個人的な侮辱と受け取っていては仕事に集中できなくなる。
時には屈辱的なほどの酷評を受ける事もありますが、それをいちいち気に病んでいては企業家は務まらないようです。
創業者には一緒に考え、愚かな決断をやめさせ、うまくいかないときには元気づけてくれる仲間が必要だ
マイクロソフト(ビル・ゲイツとポール・アレン)、アップル(スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック)、グーグル(ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン)も、二人の創業者がお互いに補い合いながら巨大企業へと成長させました。
スタートアップで成功できるかどうかを知る唯一の方法は、実際にやってみることだ
だからこそ、失敗するリスクが許容できる人、つまり「20代の半ば」が理想とされているようです。
まとめ
ポール・グレアム自身がLISPプログラマーということもあり、Yコンビネーターに参加を認められた創業者の大半が技術者です。
日本では技術者軽視が叫ばれて久しいですが、本場シリコンバレーでは銀行家よりもプログラマーの方が社会的地位が高いようです。羨ましい限りですね。
あと、「成功したベンチャーの多くは、創業当初のアイデアではなく、全く別のアイデアで成功している」という話も興味深かったです。
そういえば、マイクロソフトも家庭用BASICが始まりでしたし、今やゲームで有名なグリーも元々はSNSでしたね。
スタートアップというと、一人の天才がひらめきで世界を変えるようなイメージでしたが、貧しさに耐えながら、失敗と試行錯誤をひたすら繰り返して作り上げていく、案外泥臭い世界のようです。